オンラインカジノまたは実店舗カジノのゲームソリューションをプロデュースする方ならご存知だろうが、カジノならではの雰囲気を作り上げ、プレイヤーに最大限に楽しんでもらうためには、ミュージックの採用が欠かせない。カジノゲームに音楽が正しく適用されれば、各プレイヤーの遊ぶ時間が長くなり、繰り返しプレイされ、結果的に収益が増加する。そのため、顧客体験とエンゲージメントを向上させる上で、音楽は非常に重要なのだ。プレイヤーは運ゲーをひっきりなしにプレイするかもしれないが、開発者であれば運に任せる必要はない。以下では、カジノゲームミュージックに隠されたトリックについて、もっと詳しく見ていこう。

音楽は大脳辺縁系を活性化し、気分、意思決定、モチベーションに影響する

スロットマシンに効果音がある場合とない場合を比べると、音がある方が、発汗量が多く、勝利を過大評価することが特徴である。しかし、プレイヤーはスマホやモバイルデバイスの音声を簡単にオフにすることができるため、単に効果音があるだけでは不十分だろう。つまり、効果音が完全に優位性を得るためには、まず、プレーヤー自身が音を聴く気になることが必要なのだ。

プレイ中に鳴る音が聴いていて楽しく、アートや物語、美的センスに溢れ、ゲーム体験を向上させるものであれば、効果的であろう。その他にも、耳への負担、ジャンルの適合性、体験の一貫性などを考慮する必要がある。どんな効果音でもいざ実装する前に、しっかりと確認するようにしよう。

BGMの種類によっては、認知度に最大60%も影響する

プレイヤーはゲームと音楽の間に強い認知的関係性をイメージし、それがゲーム体験全体に大きな影響を与える可能性がある。そのため、ゲームのBGMが貧弱なループやクリッピングオーディオで構成されていたり、安っぽいサウンドトラックであったり、聴いていて魅力的でない場合は、プレイヤーの全体的な認識に悪影響を与える可能性がある。こうした悪影響は、App Storeでの低い評価やリプレイバリューの減少として示されるだろう。また、プレイヤーが音声をオフにし、聴く気にさせることができない場合は、そもそもBGMを聴くきっかけが成り立たないかもしれない。

聴き慣れた音楽によって、感情的にさせるとともに、新鮮さを保つ

人間がある行動を引き起こす感情反応は0.074秒と、まばたきの2倍の速さだといわれている。また、聴き慣れない音楽を聴くと、聴き慣れた音よりも感情的な反応を誘発するものだ。さらに音楽には、人間の時間感覚を狂わせる働きがある。慣れ親しんだ音楽を聴くと、実際よりも長い時間を過ごしているように錯覚させられ、プレイ時間を短くする可能性がある。

たとえば、何百年も親しまれ続けているクラシック音楽であるが、通常、曲中のソース素材は作曲家によって継続的に修正される。各パートはそれぞれ独立して聴こえるかもしれないが、全体的にみると、数学的につながっている。そのため、作曲家は曲やパートごとに一貫性を保ちながら、革新的な機能を利用して、聴き手の想像力をかき立てるのだ。どの音楽学校でも、ベートーベンの交響曲第5番を理想的な例として挙げられる。

これはゲームでも同じことがいえる。プレイヤーが知っている音楽を新たな形で提供することで、大きなプラスの効果が生まれるかもしれない。音楽が持つ親しみやすい要素は、プレイヤーを感情的に誘い込むが、ユニークな要素を伴えば、適度な新鮮さと非日常性、そしてブランドイメージを保てる。また、音楽を継続的に変化させることで、プレイヤーの関心を引き続けることができるだろう。

こう考えると、古い名曲クラシックのプレイリストは、現代のカジノビジネスにおいて新たな風を吹き込むかもしれない。